熊本地震21-1

《♯熊本地震 from西原村 No.21》

【力仕事をヘルプ】 西原村袴野。俵山を見上げる大切畑ダムの近くにあり、熊本地震による被害が激しかった集落のひとつだ。
「冷蔵庫を倉庫に移したいけど、男手がない。手伝ってほしい」。そんな電話が掛かってきたのは2016年5月13日、大津町内の老人ホームで暮らす父親に自宅を見せ、再び老人ホームに預けた直後だった。
依頼の主は、父親と同じ83歳。敷地の石垣が崩落し、その上に立つ納屋がひしゃげただけでなく、築120年の母屋も大きく傾き、「もう住めんごたる」と言う状態となった。
納屋の奥から引っ張り出さなければならない冷蔵庫は縦横1.8メートルもある業務用。奥行きも1メートルほどあった。「米や大根を保管するために使っていた」のだとか。普通の冷蔵庫と簡単に考えていただけに正直言って驚いた。2人だけで出せるのか…
冷蔵庫の天井部分にネジ止めされた付属の機械が梁にぶつかるため、天井に上って取り外し、2人で動かしてみたが、びくともしない。底を覗いてみるとキャスター付きであることが判明。キャスターを浮かし、冷蔵庫を固定している太いボルトはしかし、地震の影響か、4本のうち2本が曲がっていた。
力づくでボルトを回し、キャスターを地面まで下ろし、冷蔵庫を軽トラの荷台へ。荷台にころを仕込まないと動かないほどの重さで大汗をかいたが、無事に別の倉庫に運び込むことができた。
家族の大半は既に仕事に復帰しており、地震後の後始末を担うのはお年寄りだ。地震を機に発病したお年寄りも少なくない。余震の恐れもあり、危険を伴う被災家屋の処理はなかなか進まない。
「若かころは歩いてな、(私の自宅のあある)滝まで遊びに行ったこともあっとですよ」
小さく、痩せているけれど、軽トラもきちんと運転する元気な83歳。「ありがとう。むげぇ(大変な)めに遭うなあ」と、私を気遣う姿に父親の姿が重なって見えた。